ハイドロゲル注入・ゴールドマーカー留置
前立腺がんに対する治療として用いられる放射線治療は、前立腺周辺の臓器(直腸や膀胱)にも高い放射線が照射されます。放射線治療によって下血や直腸潰瘍といった放射線性直腸炎や出血性膀胱炎などの放射線性膀胱炎といった副作用が起こる可能性があります。
前立腺がんの治療中・後に起こりえる放射線治療での副作用を低減させるために、ハイドロゲル注入と放射線照射時の前立腺目印となるためにゴールドマーカー留置の二つの方法があります。
どちらの治療も保険適用となります。
ゴールドマーカ―留置
前立腺に放射線を照射するときに、呼吸や直腸ガスの影響で前立腺は10mm以上動くときがあります。放射線が直腸などに照射されるのを防ぐために、事前に前立腺の位置を確認してから放射線治療を行います。前立腺の位置を確認するために、目印となるゴールドマーカー(24金)を留置します。目印となるゴールドマーカーの留置を行うことで、照射前や照射中の前立腺の位置を正確に把握し易くなることによって、放射線治療で、膀胱や直腸など他の臓器に照射するのを防ぐ目的があります。
ハイドロゲル注入
前立腺と直腸の間にある1ミリ程度の隙間(脂肪の層)にハイドロゲルを注入します。隙間を10mm程度に広げることにより、ある臨床試験データでは、直腸に照射される放射線量を平均74%減少させたデータが出ています。また、ハイドロゲル注入を行うことで、急性期の直腸障害では75%、晩期の直腸障害では100%低下するとの報告があります。
留置したハイドロゲルは、およそ3か月間は隙間を維持してその後6か月間~1年かけて体内へ吸収されていきます。ハイドロゲル等の主成分であるポリエチレングリコールは、すでに多くの医療用材料や医薬品や化粧品に用いられる安全性の高い材質と知られています。
処置の流れ
処置は、局所麻酔下で行うので痛みを抑えて楽に受けられます。超音波で位置を確認しながら会陰部から専用の針を刺して2つのゴールドマーカーを留置した後にハイドロゲルを注入します。
処置は、30分程度で終了します。
副作用
ゴールドマーカ―留置、ハイドロゲル注入のどちらもごく軽度な副作用も併せて発生頻度は10%以下となります。
処置に関するご質問やご不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
ゴールドマーカ―留置の副作用
- 血尿、血清液症
ハイドロゲル注入
- 便意
- 下血
- 下痢
- アレルギー
- 感染
- 違和感
- 軽度な痛み(肛門周囲、会陰部)